ウォーターサーバーからお湯が出る仕組みって?何で電源を切っちゃダメなの?
いつでも冷たい水も温かいお湯も使えるウォーターサーバー。特に、すぐにお湯が出ることには驚いた方も多いと思います。
そして、なぜあの小さなウォーターサーバーからお湯がすぐに出るのだろう、と思ったことがある人もいると思います。筆者も最初は「魔法みたい」と驚いた記憶があります。
実はウォーターサーバーで冷水と温水が出る仕組みは、細かい仕様は違えどウォーターサーバー会社で共通の技術を使っています。
そして全ての機能に電気を使用しているので、どのウォーターサーバー会社でも「ウォーターサーバーの電源は切らないでください」と注意喚起をしています。
ウォーターサーバーの電源が入っていないと、お水が出せないようになっているサーバーも増えているくらいです。
今回はウォーターサーバーのお湯が出る仕組みを、分かりやすくご説明します。
最後には災害時などの備えとして、電源を切っても使用できるウォーターサーバーの条件もご紹介します。
目次
冷水も温水もすぐ出る理由
ウォーターサーバーからお水とお湯がどちらも出るのは、タンクの中に冷水と温水の2つのタンクがあるからです。
ウォーターボトルの常温水がこれらのタンクに流れ込み、それぞれの温度に冷やしたり温めたりしています。
つまり、冷水と温水を両方作っておいているので、どちらもすぐに出せる仕組みになっているということです。
それぞれのタンクの容量は1.5~3リットルのものが多く、タンク内の水が減ったら自動的にウォーターボトル内の水が充填されます。
ウォーターサーバーを使った後に「ボコボコ」とお水の音が鳴るのは、ボトルからサーバーにお水を移しているからです。
ちなみに余談ですが…筆者は初めてウォーターサーバーを使った時、ボトルの水が瞬時にお湯になっているのかと思っていました。
お水やお湯はボトルからではなく、サーバー内のタンク内から出ていたんですね。
温水タンクの仕組み
ウォーターサーバーの温水を作る仕組みは、電気ポッドなどと同じです。
温水タンクに金属の棒が設置してあり、電気によって金属棒を加熱することで水を温めています。メーカーによりますが、タンクに水が入ってから30分前後で80~90℃の温水になります。
一度熱した温水タンクの水は保温機能によって温度がキープされるので、それ以降は給水口からすぐにお湯が出るようになっています。
まれに「お湯がぬるい」という口コミを見かけますが、水を充填してから保温時間を待たずして温水を出してしまっている場合が多いです。
もしくは、温水タンクの水を一度に多く使って加熱が追いついていない可能性もあります。1リットル以上の温水を一度に使う場合は注意が必要です。
また、ずっとお湯を作り続けているわけではないので、電気代はポッドと同等、もしくはそれ以下で抑えられます。
豆知識:温水機能の改良で省エネサーバーが実現した
従来のウォーターサーバーの温水は、冷水タンクを通って温水タンクに到達していたので、水が温水になるまでに時間と電力を多く消費していました。
現在は冷水と温水のタンクが完全に独立できるようになったので、温水ができるまでの時間が短縮された上に消費電力も少なくなりました。
月の電気代が500円前後の省エネサーバーは、このようにタンクが分離しているタイプが多いです。
冷水タンクの仕組み
水を冷やす仕組みには2種類の方法があります。冷却スピードが早いコンプレッサー式と、静音に優れた電子式です。
■コンプレッサー式
冷蔵庫と同じ仕組みで水を冷やす方式です。近年の家庭用ウォーターサーバーで主流になりつつあります。
冷水タンクに冷媒となるガスを循環させて水の熱交換を行い、冷却するという方式です。ウォーターサーバーの説明書や裏面に「冷媒」と記載してあれば、そのサーバーはコンプレッサー式です。
最大のメリットは、水が短時間で冷却できること。常温の水が30分前後で5~15℃の冷水になります。
デメリットは電気代がかかることと、サーバーのサイズが大きくなってしまうことでしたが、現在は大幅に改良しています。コンプレッサー式の省エネサーバーやスリムサーバーも登場しています。
■電子式
冷却タンクに設置してある半導体(ベルチェ)に電気を通すことで水の熱を吸収・排出する方式です。
サーバー音が静かなことがメリットですが、水を冷却するのに3時間ほどかかってしまうという大きなデメリットがあります。
最近は電子式のウォーターサーバーは減ってきているようで、多くのサーバーがコンプレッサー式により30分前後で水が冷えるようになっています。
ウォーターサーバーの電源を切ってはいけない理由
テレビなどの家電のように、ウォーターサーバーも未使用時に電源を切っておいてもいいの?という疑問を持つ方もいるかもしれません。
結論としては、冷蔵庫と同じ感覚で未使用時も電源は入れておくべきです。
理由は、冷水・温水タンクの衛生面とコスト面に問題が生じるからです。
■衛生面
電源を切ってしまうと、自動クリーニング機能が停止してしまう上に、両タンク内の水が常温になります。
微量の塩素が入っている水道水と違ってウォーターサーバーのお水は日持ちしないため、そのまま放置すると水質が落ちてしまいます。
※ウォーターボトル内の水はサーバー設置後も空気が触れないようになっていたり、除菌フィルターを通した水しか入らないようになっていたりと、水質が落ちない工夫がされています。
■コスト面
電源を切って常温に戻った水を、再度冷やしたり温めたりすることでかえって電気代がかかってしまう場合があります。
数日家を空ける程度でしたら、電源を入れておいた方が衛生的なだけでなく、コスト面もお得です。
旅行などで1~2週間以上留守にする場合は、タンク内の水を排水した上で電源を切っておく方法もあります。
水抜きの方法はウォーターサーバーによって異なるので、各ウォーターサーバーの説明書を確認したり、コールセンターに相談するのが望ましいです。
このような理由から、ウォーターサーバーによっては電源を入れないと給水ができないようになっているものもあります。
それくらい、電源を切ることは避けた方が良いのです。
停電時にも使えるウォーターサーバーとは
電源が入っていなくても使えるウォーターサーバーは、水が上部に設置してあり、水をコックで出すタイプのものです。
ウォーターサーバーの電源は常に付けておいた方が良いですが、停電などの非常事態ではやむを得ません。
しかし前述の通り、電気が通っていないと使えないウォーターサーバーも中にはあります。
電気が通っていないと水が出せないウォーターサーバー
■水を出す操作が電気スイッチ式のもの
コックを操作するだけで水が出るサーバーは、サーバー上部に設置したお水を重力で出すので、停電時も水を出すことができます。
しかし、電子パネルなどのスイッチを押すことで水を出すサーバーは、電気が通っていないとスイッチ操作ができないため水が出せなくなります。
■お水のボトルが足元に設置してあるもの
お水交換が楽な足元交換タイプのサーバーの多くは、モーターで水を吸い上げて水を出す仕組みになっています。
このモーターは電気によって動いているので、電気が通っていないと給水口まで水を上げられません。
水が上部に設置してある、かつ給水口がコック形状のものは、「リターナブル方式」のウォーターサーバーに多いです。
リターナブル方式とは、お水のボトルを使い終わったら回収して再利用するウォーターサーバーの種類です。
お水のボトルを使い捨てるウォーターサーバーもありますが、コック式ではなく電動のサーバーが多めです。
リターナブル方式のウォーターサーバーといえば、大手でいうとクリクラやアクアクララが有名です。
また、この2社は「RO水」という種類のお水を扱っており、災害にも強いというメリットがあります。
RO水は、お水の工場で不純物を99%除去して作る純度の高い水です。
そして、災害が起きてもお水の製造工場が稼働していれば、水の供給を受けられる可能性が高いです。
ウォーターサーバーのお水を多めに買っておいて、備蓄水としても使いたい人におすすめです。
一方、RO水に対して、ミネラルが豊富な「天然水」を扱うウォーターサーバーもあります。
天然水ウォーターサーバーの中でコック式のブランドは、クリクラミオやアクアセレクトなどがあります。
ウォーターサーバーに設置しなくてもお水が出せる会社も
コック式以外にも、電気なしでお水が飲めるウォーターサーバーがあります。
それは、サーバーに設置しなくても水が使えるタイプ/span>です。
たとえばサントリーのウォーターサーバーでは、ウォーターパックに非常用コックを取り付けることで直接お水が出せるようになります(要問合せ)。
ふじざくら命水というウォーターサーバーは、あらかじめ給水口がウォーターパックについているので、いつでもサーバーに設置しない状態で使えます。
このように、災害時にサーバーにお水を設置しなくてもお水が飲めるタイプのウォーターサーバーもおすすめです。
もしくは野外レジャーなどで、まとまったお水を持っていきたい時にも使えます。
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